2009年11月11日

【社説】プルサーマル 誰のための「国策」か【中日新聞2009年11月11日】

DSCF2075_dws512.jpg【社説】プルサーマル 誰のための「国策」か【中日新聞2009年11月11日】http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2009111102000041.html
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プルサーマル発電の試運転が、佐賀県玄海町の九州電力玄海原子力発電所で始まった。国内初だが、海外では撤退に向かう核燃料サイクル計画は、「国策」として続けていくに足るものか。

 プルサーマルとは、原発で使用済みになったウランの燃えかすからプルトニウムを抽出し、新しいウランに混ぜてもう一度燃やす、燃料リサイクルである。

 本来ならば一九九九年、関西電力高浜原発か、東京電力福島第一原発が「第一号」になるはずだった。ところが、MOX(ウラン、プルトニウム混合)燃料の品質管理データ改ざん問題などで、計画は頓挫した。十年の遅れを生んだもの、それは原発につきまとう、トラブル、隠ぺい、そして不信の連鎖にほかならない。

 玄海3号機は、何とか始動にこぎ着けた。来月には営業運転を開始する。が、不信がぬぐい去られたわけではない。MOX燃料を供給すべき青森県六ケ所村の再処理工場は、トラブルの連続で完成が十七回も延期されてきた。

 使用済み燃料を再利用する「核燃料サイクル」は「国策」という。ただし、発電すればするほど燃料が増える高速増殖炉がその本命だった。しかし、実用化のめどは立っていない。"つなぎ"役のプルサーマルも制御が難しいとされるなど、技術的な疑問は多い。利用できるプルトニウムは使用済み燃料のわずか1%、それ自体が猛毒だ。MOX燃料の価格は、通常のウラン燃料の十倍近い。欧米では"再処理離れ"が進む。

 使用済みMOX燃料の捨て方は決まっておらず、核燃料の「サイクル(輪)」は寸断されている。

 関係者はことあるごとに「安全」を強調するが、住民の不信と不安がくすぶる中で見切り発車したという印象も否めない。それでも先を急ぐのは、核兵器にも転用できる再処理済みのプルトニウムがたまりすぎているからだ。

 来年度にかけて、四国電力伊方原発、中部電力浜岡原発なども、発電開始をめざしている。

 民主党政権下でも「国策」は変わっていない。エネルギー自給率4%のこの国で、政府や電力事業者は「国策」遂行に邁進(まいしん)し、そのために不信を呼んだ。安全確保、情報公開は当然だ。その上で、少し立ち止まって考えたい。安全、コスト、将来性、ライフスタイルなどの面から、私たち消費する側も交えて「国策」を冷静に論じ合い、見直しを図るべきだろう。

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◎関連NEWS一覧
【玄海原発プルサーマル問題 :佐賀新聞の情報コミュニティサイト ひびの】
http://www.saga-s.co.jp/news/genkai_pluthermal.html
【デーリー東北:地域特報版:核燃料サイクルトップ】
http://www.daily-tohoku.co.jp/tiiki_tokuho/kakunen/kakunen-top.htm

091105_1614~0001.jpg 091105_1615~0001.jpg5日より九州電力会社本社前にて市民によるテント村が設営、開始されました。(上記写真)
全国各地から応援メッセージが届いてブログで紹介されています。
以下、プルサーマルよりカーニバル!より転送します。
http://carnivals.blog93.fc2.com/

【転送熱烈希望】
報道によりますと、
明日5日、玄海原発にて、ついにプルサーマルが開始されます。
これまでの佐賀県民、福岡県民、そして全国の皆さんを含む47万の署名を無視し、とうとう開始です。

5日から 私たちは 24H体制で抗議行動に入ります。
皆さん応援してください。 皆さんのお力添えが必要です!
よろしくお願いします。

■プルサーマルに対する抗議活動(24時間体制、期限未定)
■11月5日朝10:00~
■九電本社前 
     住所:福岡市中央区渡辺通2-1-82
     (福岡市地下鉄七隈線「渡辺通駅」下車)
■今後の座り込みの報告は以下のブログで御覧ください
プルサーマルよりカーニバル!
http://carnivals.blog93.fc2.com/

 

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コメント[1]

11月11日、東京新聞も同文でした。

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1335201737&owner_id=10551460