Enviro-News from Junko Edahiro
本日配信された枝廣淳子さんのメールニュース。
ふむふむ、そうそう!とうなずきながら読みすすめ
これはミツバチブログでご紹介したいと思い、早速ご本人にご了承をいただいたので、以下転載させていただきます。バックキャスティングと空想するチカラ。祝島、瀬戸内海、そしてわたしたちの自然環境を守るために今なにができるでしょう。2号続けてどうぞ。
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[enviro-news 1759] 低炭素化、活力と自信生む、2020年の望ましい日本~日刊工業新聞の「卓見異見」への第5回寄稿より(2010.02.17)
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Enviro-News from Junko Edahiro
No. 1759 (2010.02.17)
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<内容>
■低炭素化、活力と自信生む、2020年の望ましい日本
■バックキャスティングでビジョンを描くときのコツ
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■低炭素化、活力と自信生む、2020年の望ましい日本
日刊工業新聞のオピニオンページ「卓見異見」への第5回の寄稿文が掲載されました。前月の寄稿文の「後編」にあたります。
~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~
(日刊工業新聞 2010年2月15日付より)
低炭素化、活力と自信生む
2020年の望ましい日本
前回は「このままの状態が続くと?」という日本の10年後を描いたが、今回は、こういう日本にしたい!と私が思う「2020年の日本の姿」を描こう。
2020年。この10年間で日本は大きく変わった。10年の段階で「20年は50年に温室効果ガスを80%削減するための一里塚にすぎない」ことを認識し、議定書の単なる帳尻合わせのために他国に資金を流出させるのではなく、国内での削減にしっかりと投資し始めたからである。また「日本にとっての大問題は、化石エネルギーのピークの到来とそれに伴う食料問題でもある」こともしっかり認識して、脱化石エネルギーの取り組みを進めてきた。
スマートグリッド普及
各地域では、人口減少や高齢化の進む中、どうしたら福祉サービスを提供する行政の負担を減らしつつ地域の人々の幸せを最大化できるかの設計を行いながら低炭素都市づくりを実践してきた。
つまり、国際交渉や他国を待つことなく、日本がしっかりと自分の足で立てる国になるために、この10年間を費やしてきたのだ。
最も力を入れたのがエネルギーだ。太陽光だけではなく、洋上を中心とした風力発電、地熱やバイオマス、太陽熱などの利用を進めると同時に、間欠性のある自然エネルギーを広く受け入れられるよう、スマートグリットが全国規模で整備され、各地で自然エネルギーの開発が進んでいる。
人々の移動手段は、公共交通やカーシェアリングが主であり、自動車はほぼ電気自動車(EV)である。かつての「ガソリンスタンド」は今では、太陽光パネルや風力タービン、バイオマス発電所からEVに燃料を給電する場所だ。
地域経済にも好循環
こうしてエネルギーの脱二酸化炭素(CO2)化を進めた結果、エネルギー消費量とCO2排出量を切り離すことができ、日本の産業界はペナルティーなく経済活動を増大できるようになり、日本経済は大変に元気である。
職住近接型の都市づくりも進んでいる。通勤によるCO2だけではなく通勤時間も減ったため、家族との時間が増え子育てがしやすくなり、出生率も上昇している。人々が地域に戻ってきたので、祭りや商店街も活性化し、地域でのモノやお金の循環が、ますます地域を元気にするという好循環が回り始めている。手入れができずに荒れていた各地の森林も、今では林業がバイオマスエネルギー産業にもなったため、活況を呈し、森に人と誇りが戻ってきている。
電力業界では「電力販売量」ではなく、「家庭に提供する快適さ」が収益に結びつく仕組みに変わったため、各社はいかに最少の電力で最大の快適さを提供できるかにしのぎを削っている。
住宅はすべて二重窓である。省エネの上に、冷気や結露、騒音も解決し、静かで快適な暮らしだ。家電製品は、スマートメーターで互いにつながり、トータルに快適さを提供しながら省エネを図っている。省エネとエネルギー転換を進めていくことで、50年には日本の家庭から排出されるCO2はゼロになると目されている。
国際競争力の源泉に
日本の産業界は、あらゆる高性能の製品をシステムとして組み合わせて提供することで、あらゆる場面のCO2を減らせる力を擁しており、それが日本の国際競争力の大きな源泉となっている。日本政府や日本の企業は、今では「世界の必殺CO2削減人」と呼ばれ、世界各地からの依頼や注文が引きも切らないのである。
人々には笑顔と自信が戻っている。将来世代への罪悪感を抱くことなく、暮らしや経済活動を営むことができ、たとえ石油がなくなっても、二酸化炭素の制約がさらに厳しくなっても、日本はやっていけるという自信に満ちている。世界の日本を見る目も変わった。本当の意味で低炭素社会・持続可能な社会にシフトしてきた日本は真の国際的リーダーなのだ。
いかがだろうか? 国も地域も、企業も家庭も、「こういう姿にしたい」というバックキャスティング型のビジョンを描き、取り組みを大胆に進めていく10年になることを願っている。
~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~
「こんなふうになったらいいな」「こんなこともできたらステキ!」と、どんどん描いてみる、空想をふくらませるって、とっても楽しいコトです!
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■バックキャスティングでビジョンを描くときのコツ
そんなバックキャスティングのコツのひとつは、「実現可能性や実現方法はあとで考える」ことです。それはビジョンを実現するときのプロセスであって、ビジョンを描くときには脇に置いておいたほうがよいです。
伸び伸びとビジョンや夢をふくらませているときに、「そんなこと、本当にできるのか?」「どうやってやるんだ?」という声が(自分の中か、まわりの人からか)聞こえてくることがあるでしょう。そのときに、その声に耳を傾けると、夢もビジョンもシュンとしぼんでしまいます。
「本当にできるのか、どうやってやるかは、あとで考えるから、いまは自由に広げさせてね!」とひと言断って、描くときは思いっきり描く、ということが大事です。だって、そのあと実現方法について考える局面に入ってしまうと、それ以上は広がりませんから。
描いたからといって全部実現しなくちゃイケナイわけでもありませんから、責任をどうとるかなんて心配せずに、安心して「遠くを見る練習」「自由に描いてみるトレーニング」として、やってみませんか?
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[enviro-news 1760] 私の空想、私たちの空想のチカラ(2010.02.17)
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Enviro-News from Junko Edahiro
No. 1760 (2010.02.17)
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> 「こんなふうになったらいいな」「こんなこともできたらステキ!」と、どんどん描いてみる、空想をふくらませるって、とっても楽しいコトです!
と前号に書きました。だれでも、どんなことについても、「こうなったらいいな!」と広げて考えることができると思います。
ひとつの例として(?)、私が名古屋の中学1年生のときに書いた作文をご紹介します。(2001年にも紹介したことがあります。もし覚えている方がいらしたら、重複すみません~!)
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私の空想
久方中 1年 塚本淳子
私は、京都の銀閣寺の近くで生まれ、幼稚園時代までそこで過ごしました。そして、父の転勤にともなって、宮城県の仙台市郊外、愛知県の安城市と引っ越し、2年半前に名古屋市に移り、いままでずっと住んでいます。
名古屋へ来る前は、どこも都心から離れた静かな環境で、大自然に囲まれて、伸び伸びとした生活をしてきたので、名古屋に来てはじめは、車や人の混雑ぶりには、頭が痛くなるほどでした。それでも私は、緑の山の見える団地に住んでいるので、まだ町の中心部に住んでいる人たちから見ると、しあわせだと思っています。そこで、日頃感じていること、希望などを述べてみたいと思います。
まず、街の中はどうしてこうも車が多いのでしょう。このことは、名古屋に限らず、日本中がそうなのですが......。そこで、地下鉄を名古屋市内のすみからすみまで発達させ、バスの本数をもっとふやし、道路には、バスレーンをもっとたくさんつくり、自動車を最少限に規制して市内からしめ出します。
そして、市内をもっときちんと区画整理して、何ブロックかに分けます。そのブロックとブロックの間には、緑の広場―――小さな子どもたちがちょうやせみ取りをしたり、学生たちが勉強の疲れをいやしたり、気軽にちょっと休めるような、そんな広場――がほしいなあ、と思います。
そしてごちゃごちゃと、とりとめもなく立っている市内の建物を整理し、高層ビルを建てて、全部の建物をその中に入れてしまいます。そうして、その建物のあとのあいた土地には、次のような物をつくります。
第一に、現在数が少なくて私たちが不便な思いをしている市営プール。次に、ふな、メダカなどの小魚を放った人工池。それから、いろいろな遊具のある公園。だれでも使える広い運動場。野外音楽堂なんかもつくるとますますすてきです。そのような物をつくって、市民のために開放します。
また、名古屋市は他都市と比べて、大変川が少ないので、市内のあちらこちらに人工川を掘り、きれいな水を流し、小魚を放し、川端は桜並木にして、日曜などには家族連れ、友達連れで、魚釣りができたら、どんな楽しいだろうなあ。
現在、市内の街路樹は、どこも電柱・電線が網の目のようにはりめぐらされているため、少し背が伸びるとじゃまになり、切り落とされてしまうので、大きく育てる事ができません。ですから、道路のグリーンベルトをもっともっと幅広く取って、電線なんかは、地下に通して、街路樹をうんと大きく、青々と育てます。
そして、どの木にも小鳥の巣箱をかけ、小鳥のさえずりが聞こえるようにしたら、どんなにすてきだろうなあ。それに、街路樹のところどころには、柿・梨・いちじく、桃・栗などの、くだもののなる木も植えて、その木の消毒から袋かけなどは、その地区の子どもたちがみんなで世話をして、大きな実がおいしそうに熟したら、近所のおじいちゃん、おばあちゃんたちもいっしょに、みんなで公園
で食べたら、みんなはよろこぶだろうなあ。
それから、緑の広場に小さい花壇を作って、花の球根を植えて、みんなで世話して、きれいな花を咲かせたら、美しいだろうなあ。また、じゃがいも、さつまいもなども植えて、秋にはみんなで「いもほり」なんかをしたら楽しいだろうなあ。そして、そのおいももも、ふかしいも、焼きいもなどにして、みんなで広場に集まって食べたら、おいしいだろうなあ。
こんな事を空想していたら、本当に楽しくてたまりません。でもこんな事は、一度には実現できないので、少しずつ少しずつ、みんなが住み良く楽しい名古屋にするように、市長さんをはじめ、お役所の方々に努力をお願いし、また、市民の私たち一人一人が協力しなければならない、と思っています。
私の楽しい空想が、空想でなくなる日を夢見ています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この作文を書いてから30年以上たちます。いまこうやって読み返してみると、「自動車の規制」「ゾーニング」「ビオトープ」「町の緑化」「電線地中化」など、いろいろな事例が出てきたり、そういう動きや働きかけが生まれていたりしているのだなあ、、、と思います。
もしみんなが同じ方向へ向けてのビジョンや夢を描いて、その実現を願ったとしたら、望ましい方向への動きは加速することは間違いありません。
今、日本の中でも世界でも、みんなが自分の思いや望ましい未来の姿を抱くようになり、意識化し、共有するようになってきていることを、私はとても心強く思っています。
私たちの楽しい空想が、空想でなくなる日を夢見て、、、私はこうやってメールニュースを書き続けているのでしょうね。
それにしても、育てたおイモの食べ方を空想しているあたりが特にイキイキと書かれた作文ですよね。その頃から食いしん坊だったんですね~。(^^;
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