2010年2月 8日

「にほんの里から世界の里へ」@金沢レポート

2月6日石川県金沢市県立音楽堂で連携セミナー「にほんの里から世界の里へ」が開かれました。
http://www.nihu.jp/events/2010/01/12/post-2/

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第一部 生物多様性と人の営みー「にほんの里100選」新たな挑戦ーでは、昨年「にほんの里100選」に選ばれた中から「新たな挑戦」と題して八つの地域からの報告がありました。

にほんの里100選
http://www.sato100.com/top.html
http://www.tv-asahi.co.jp/sato100/03_100sen/index.html

 

祝島自治会副会長の橋部好明さんから、
山口県上関町祝島(いわいしま)の報告がありました。 

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約300世帯530人が住むハートの形をした瀬戸内海の離島。古くは万葉集にも歌われているという歴史がある。

3.5キロ先の対岸には、上関原子力発電所の建設が予定されており、住民は28年間、反対運動を続けている。豊かな漁場である海を守るため、原発には絶対反対します。

祝島にはもう菜の花が咲いている。山一面を彩る山桜も有名、これらは昔からの品種。
海辺の石を土で固め、しっくいを塗った「練塀(ねりへい)」が島独特の景観をつくっている。全国でも珍しい。

島の周辺の海にはハヤブサ、アイサ、イルカ、スナメリ、などの希少生物が生息し、フグも産卵に訪れる。釣りにも最適で、カレイやタイなど多様な水産物がとれる。

祝島は離島であるため、生態系が閉鎖的で農作物に被害を及ぼす狸・イノシシ・サルがすんでいないので、露地でも無農薬が可能な上、高品質。天然の良質な水産物とともに、島を経済的にも支えている。
温暖な気候で以前はみかんの栽培が盛んだったが、農薬の使用を抑えるため、現在は無農薬のびわに移行してきている。

耕作が放棄された棚田では「放牧養豚」が行われ、家庭の野菜くずをエサにすることによって、家庭ごみが3分の1減った。

棚田には人の手で積み上げられた8メートルの石垣もあり、練塀の修復と同じく、島内外の人たちと力をあわせて手入れをしている。

過疎・高齢化の中、4年に1度行われる1100年続く「神舞(かんまい)」の大祭も続けられている。

08年3月に「祝島自治会生態系保全規則」を作り、第一次産業の基盤となる豊かな海や山の生態系は自分たちで守ることをみんなで確認、
「一流の離島」を目指している。

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 どの地域も過疎化・高齢化と向き合いながらも多様性に富む自然や文化を、住民同士がつながり、知恵をつかい体を動かして守っていることが伝わるレポートでした。

 

2010年1月 026.jpg引き続いてのパネルディスカッションの中で、

パネリストの方々が祝島について触れた部分をメモしました。


森本幸裕さん/京都大学大学院教授

山口県の祝島は離島のため生態系が昔のまま。
自然を守り、次世代に引き継ごうという「自治会生態系保全規則」をもうけているのはたいへん珍しい。
祝島は、瀬戸内海の原風景が残っている希少な場所だと思う。
スナメリのような指標性のある野生生物が現れるということが環境が守られている証拠であり、島だけではなく海という周辺環境を含めて考えるべき。海にも負荷をかけず、保全していただきたい。


あん・まくどなるどさん/国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット所長

(講評の中で )

特に祝島では、1100年続く祭があるという。
1100年続いてきた人の営み!それはいつも同じことを続けてきたから続いたわけではないと思う。
たとえば今、みかんに変わり環境への負荷を減らすため、無農薬びわを栽培しているという。そのように、(変化しながら)くらしを支える自然界と共存していくという姿勢が非常に大切である。

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同じく100選に選ばれた地元産地域からの食材を使った特製「里弁当」をいただいていると、

近くに座った20代の男女三人が、

「わたし、祝島行ってみたくなった!!」

「すごい景色がきれいだったよねぇ」

と話し合っていました(*^_^*)

 

橋部さん、とても素晴らしい発表、おつかれさまでした!

はしべさんのホームページです。写真がとても美しく、祝島の魅力が毎日伝わってきます。

祝島フォト情報
http://www.iwai-island.jp/

ぜひごらんください。

 

駆けつけた祝島に心を寄せる石川・富山の仲間たちもみどりのハートをふって応援(?)しました。

私たちも遠くに暮らしていますが、橋部さんにお会いでき、祝島を身近に感じて幸せな一日でした! 

 

「里山」の英知 未来へ  金沢(朝日新聞石川版 2月7日)
http://mytown.asahi.com/ishikawa/news.php?k_id=18000001002080001

 

staff コハラ

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コメント[2]

小原さん、ご一緒して下さってた皆さん。
先日はわざわざ会場に駆けつけて下さり、
ハートの団扇での応援ありがとうございました。
とっても嬉しく、心強く思いました。
感謝でいっぱいです。
遠い北陸の地に、祝島に思いを寄せて下さる
方がおられることに驚くとともに、豊かな自然を
守り、きれいなままで次世代へ~の強い想いを
共有しました。
 

橋部さんおつかれさまでした!

本当にいいプレゼンでした。
会場中 祝島ファンになりましたね(*^_^*)

遠くにいても、鎌仲監督の映画を通じて、祝島のことをたくさんの人たちに知っていただけることがうれしい、できることがあるということがうれしいです。

いつかきっと、祝島に行きたいです。