2010年5月 9日

田中優さん映画の感想 ☆ 16日「ライブアースまつやま」は見逃せない!

 「ミツバチの羽音と地球の回転」の試写会を見てくださった環境活動家の田中優さんがいち早く、映画の感想を送ってくれました。
田中優さん  http://tanakayu.blogspot.com/

田中優さん.jpg

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「ミツバチの羽音と地球の回転」

 このタイトルの言葉には、聞き覚えがあった。なんだったかな...。それをやっと思い出した。「量子力学」の話で読んだことがあるのだ。高木仁三郎さんだったかもしれない。こんな話だった。

 「元素を調べようと思ったとする。するとまず元素を見なければ始まらないのだが、それを見るためには光を当てなければ見れない。元素に光子をぶつけると、大きく軌道がずれる。すると見たものは元の形ではない。そこにあるものを見るためには、そのものに影響を及ぼさなければ困難なのだ。すると純粋に客観的に観察する、ということが困難であることがわかる。逆にいうと、世界にあるどんな小さなことでも、それはたった一個の元素に対する光子でも、影響を及ぼしているのだ。たとえばどこかでミツバチの羽音がしたとしよう。するとその羽音は、地球の回転にさえ影響を及ぼしているかもしれないのだ」。

タイトルがこの言葉から取られたかどうかは知らないが、この意味なら理解できる。


 瀬戸内の小さな島、祝島に、若い山戸孝くんが戻ってきて生活を始める。海でひじきを採り、山でビワを育て、インターネットで外界に販売を広げ、家では料理・育児もしながら懸命に働く。しかしその島は、中国電力が建設しようとする上関原発予定地の3.5キロ離れた真正面、家を出て見れば対岸に見える場所なのだ。彼らは小さな島の中で懸命に働き、暮らしを楽しむ。

 しかし中国電力は埋め立て工事を開始することにし、県も町も島民の意向を無視して許可を与え、工事のためのブイを海に置こうとする。しかしここは瀬戸内に残された最後の楽園だ。コンクリートで固められていない浜が残り、海には海草が育ち、絶滅を危惧されるさまざまな生物たちの残される最後の海だ。埋め立てられては海が死ぬ。原発が建てられたら放射能を含んだ風が届く。ドイツの放射線保護庁が『白血病発病の確率が倍以上になった』と報告した範囲は、原発から5キロ圏内だ。

 祝島の多くの人たちは、船を繰り出しテントを張り、そのブイの設置を中止させようとする。しかし中国電力の担当者は船の上からこう説得するのだ。

「みなさん、いまさらこんな一次産業を続けていて、未来がありますか? 食べられるようにしていくには産業の活性化が必要です。原子力発電は地域の雇用を増やします」と。

 これまで原発を受け入れた自治体で、その後に人口が増えて地域が活性化した地域はひとつもない。なぜ地域経済の活性化などと言えるのだろう。あり得るとしたら、カネを受け取って故郷を忘れ、関係ない地域で生き延びることだけだ。気になるのは「一次産業で食べられるわけがない」という考え方だ。いったい彼らは何を食べて暮らしているのだろうか? 食べられるものはすべて一次産業が作っている。なのになぜ彼らは「一次産業では食べられない」というのだろうか。

 一方、世界では自然エネルギーの開発が進む。スウェーデンでは自然エネルギーの導入が進んで、人々は徐々に環境を痛めることのない自然エネルギーにシフトしていきつつある。そこでの会話。

「どうして風力発電だけで生活できるんですか?」
「簡単さ、自然エネルギーの電気を供給する電力会社から電気を買えばいい」
「日本では買えない」
「ウソだろ? なんでだ? たった一つの電力会社からしか買えないわけじゃないだろ?」
「独占会社からしか買えません」
「そんなバカな、変えなきゃダメだ...」と。

 スウェーデンの人々は、地域にある資源を利用して自然エネルギーを進めていく。地域経済を復活させ、地域の自然を役立てたことを誇りながら。

 「こんな簡単に?」と驚くほど、彼らは地域で邪魔ものにされていた森の木材を利用し、糞尿をガスにし、風を電気に変え、地域に誇りを持ちながら暮らしている。


 どちらの地域が羽音なのかは知らない。しかし地域で誇りを持って暮らすことは、いずれ他の地域にも影響を及ぼすだろう。量子力学の言う、「地球の回転」に「ミツバチの羽音」は影響していくだろう。
「小さな試みだ、無視すればいい」というのは簡単だ。「そんなことをして何になる」と評論することもできるだろう。しかしそれでも「何かを起こす人」が次の世界を作っていく。評論して揚げ足を取ることはどんな人間にもできるだろう。しかし大切なのは何かを作る人なのだ。

 小さな羽音が共鳴し、共振し、次の地球の回転を起こす。この映画はその小さな羽音の記録だ。未来の私たちが、どちら側に感謝するだろうか。小さなミツバチのする、小さな、しかし勇気ある暮らしを見てほしい。

 『鎌仲監督はこの映画で、地球の回転のギアチェンジする時代の羽音を切り取って提示した』

 将来、この映画がそう言われるようになるといい。

 

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田中優さんとは一年に何度か全国各地で
コラボレーションしている鎌仲監督です。


16日(日)は「ライブアースまつやま」でご一緒します!

しかも、音楽のゲストには、「ミツバチの羽音と地球の回転」に
すばらしい音楽を提供してくれたShing02さんもいらっしゃいます。

Shing02 言葉・音楽 伝える力
http://888earth.net/staffblog/2009/11/shing02.html

「僕と核」祝島訪問記
http://www.e22.com/atom/iwaishima.htm


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ライヴ・アースまつやま2010
http://www.liveearth-matsuyama.com/
http://tanakayu.blogspot.com/2010/05/blog-post.html

5月16日 日曜日 10時~18時

愛媛県松山市 堀之内城山公園 野球場跡地 
500円(賛同缶バッヂ)
ライヴ・アースまつやま実行委員会

 

<参加アーティスト>

【朝崎郁恵】
http://www.asazakiikue.com/


【風の楽団】
http://www.kazegaku.com/


【Shing02 with エミ・マイヤー & 明慧】
http://www.e22.com/
http://emimeyer.jp/indexTop.php
http://www.myspace.com/myokei42

 


shing02.jpg【DEWACHEN】
http://www4.ocn.ne.jp/~dewachen/


<トークゲスト>

【田中優】
http://tanakayu.blogspot.com/


【鎌仲ひとみ】
http://888earth.net/

 

<タイムテーブル>

http://www.liveearth-matsuyama.com/event.htm

10時開場

<ステージ>

11時      トークライブ(田中優)
11時30分  トークライブ(鎌仲ひとみ)

12時      Sing02 with エミーマイヤー&明慧            

13時       トークライブ(鎌仲ひとみ・田中優)

14時       DEWACHEN                

15時       トークライブ(田中優)

16時       朝崎郁恵 風の楽団

18時      閉場

 <お話テント>

12時~ トークライブ(田中優)

14時~ トークライブ(鎌仲ひとみ)

 

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自然の中で、トークも音楽も

たっぷり堪能できそうですね!

みなさま是非! ライブアースまつやまへ~~♪

 

staff コハラ

 

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