2010年5月18日

映画を完成させて ―鎌仲ひとみ 

映画を完成させてからまず祝島の方々に観ていただき、
それから山口・東京での試写会・九州試写会・北陸試写会(石川・富山)を重ね、その間に山口で初の自主上映もしていただきました。

祝島のおばちゃん達、出てくださった岡本さんや林さんなど、皆様に完成を喜んでいただきました。山戸孝さんは子守が忙しく、全編を観ることがかなわず、お父さんの島民の会代表の山戸貞夫さんには「ありきたりのドキュメンタリーではない、編集もよくできている」と合格かなと思えるコメントをいただきました。

2年近い取材期間の間、祝島の方々に言葉では言い尽くせない程、お世話になりました。あれも、これも映画に入れたいと四苦八苦いたしましたが350時間分の素材を2時間15分にしました。おもしろいエピソードや魅力的なキャラクターを映画の物語に入りきらず泣く泣くカットするのが一番大変でした。
 
若手編集マン辻井潔さんやスタッフに支えられて完成できたことは本当に大きな喜びです。力の限りで作ったと感じていますが、ご批判や様々な意見を聞かせていただきたいと思っています。
この映画を全国から応援してくださった多くの方々にもこの場で御礼を申し上げます。ご支援、本当にありがとうございました。

これは「未来のエネルギー」を巡る物語です。
その未来は今を生きる私たちの選択にかかっています。
祝島の人々の願いとは裏腹に目の前に建設されようとしている上関原子力発電所は日本全国のエネルギーのあり方に無自覚な人々によって支持されています。日本全体に浸透している「原発がなくては快適な生活はない、原発はCO2を出さないからクリーン」という思い込みがいかに強力なものか、私も良く知っています。
しかし、そこを変えていかなければ新しいエネルギーの未来もありません。希望は存在しています。
スウェーデンでは持続可能な未来に向けて全く発想を変えたエネルギー政策がとられ、日々進化しています。この違いはいったいどこからやってくるのか、そして私たち自身の未来に誰が責任を取るのか。
 
地球上の全く違う場所に住む人間の思いが映画の中で重ねあわされ、新しい扉が開かれていきます。
ぜひ、この映画を観ていただき、そして広めていただきたいと切に願っています。
ミツバチのように地域でエネルギーの自立に向けて働く人と人がつながっていく力にこの映画がなりますように!
ミツバチの羽音が響き、共振していきますように!

                               2010/5/18 鎌仲ひとみ

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コメント[2]

短い夏の太陽の光=生命のエネルギーを、少ないがために貴重なものと捉えられるスウェーデンの人々と、温帯の四季豊かな命にあふれた日本に暮らしている我々とでは、もとからハングリー精神が違う。何もしなくても手に入る、生存するための暖かくてやさしい環境。他の国の戦争で潤い、ある意味、分不相応な生活環境に慣れてしまった自分達。その高水準の生活を維持するための原子力発電所。
なんにもせず、お金だけ払って楽な生活をしようとする。(しかし実際に払っている代償はかなり大きい=人生の可能性をせばめてお金を稼ぐ)
自分で選ぶ。情報を集め、勉強して。何をするべきなのか。何をしたらみんなと和やかに暮らしていけるのか。
一億二千万人みんなが楽して贅沢は無理がある。
それは、あきらめて、生産者になろう。作り手になろう。
エネルギーさえも。
ものを作る喜び。他の生き物や自然に迷惑をかけていないと、胸を張って言える毎日を送れる喜び。
「ミツバチの羽音と地球の回転」
ミツバチの羽音は、小さなザワザワとした生命の響きの比喩、地球の回転は、まさにエネルギーそのものと先日ustで鎌仲監督が言ってました。
想像&創造力と、怠惰に麻痺した心の戦いです。絶対に負けられません。
前者を後押しする素晴らしい作品となっていますことを確信しています。
観るのがとても楽しみです。(思いの丈をぶつけすぎて、文章まとまらず。)

おおぎだあきら様

想いのこもったコメントをどうもありがとうございます!
映画、ぜひご覧になってください
日本全国、あちこちでぶんぶんし、
あきらめではない、希望の羽音を響かせましょう~